基幹研究プロジェクト

神奈川歯科大学大学院基幹研究プロジェクトとは

歯学専攻は、歯科医療に必要な5つの課題を掲げ、その課題解決を目指して大講座が編成されている。この大講座の重要なmissionの一つが大講座基幹研究プロジェクトの推進である。大講座基幹研究プロジェクトは、各講座の受け持つ課題の解決を分野横断型研究で実施し、神奈川歯科大学の研究力を社会に還元することで、建学の精神の実現を目指したものである。

新神奈川歯科大学大学院 大講座基幹研究プロジェクトの概念

歯科医学が解決しなければならない5つの課題と対応講座

全身管理医歯学講座 超高齢社会は、全身疾患との関連を重視した高度な歯科医療の充実が必要であり、摂食嚥下を含め全身管理に造詣の深い高度な専門性を有する歯科医師が不足している。特に本学の位置する横須賀市は高齢化が顕著であり地域への貢献も求められる。
口腔統合医療学講座
高度先進口腔医学講座
近年歯科医学も専門分科が進み高度化した半面、総合的な視点として小児から高齢者を取り扱うライフコースに基づく一貫した歯科医療の観点が失われていると同時に、包括的ケアを含めて総合化できる歯科医師が不足している。臨床研究dataセンターを設立し、新領域の研究を本学から世界にアピールする。
災害医療歯科学講座 災害の頻発に対する災害医療歯科学の推進と災害時迅速に対応できる指導的な歯科医師が不足している。三浦半島の活断層は、地震災害を起こすことが推測されており三浦半島の災害時の歯科医療の充実は欠かせない。
顎顔面病態診断治療学講座 増加を示す口腔癌に対する歯科医療の高度化が必要であり、腫瘍学に対する造詣の深い高度な専門性を有する歯科医師が不足している。
口腔科学講座 口腔と全身の関連の科学的解明を進展させる必要があり、基礎研究の充実と臨床応用できる臨床研究を主とする歯学教育・研究者が不足している。本学がリードしてきた研究領域であり、研究の進展が必要である。

▼

講座基幹研究プロジェクト

プロジェクト名 リーダー
認知症患者の各ステージにおける口腔機能管理の包括的戦略 森本 佳成
歯科大学による健康長寿に向けた口腔管理アプローチシステムの樹立 三辺 正人
口腔癌におけるPET検査を用いた腫瘍悪性度評価の試みと頸部リンパ節転移に対する正診率向上に関する研究 岩渕 博史
口腔機能を指標とした生活習慣病のリスクスクリーニングとリスクマネジメント 松尾 雅斗

大講座基幹研究若手プロジェクト

プロジェクト名 リーダー
口腔の健康をはじめとした生活スタイルの改善によって循環器疾患を予防できるか 青山 典生
光治療による高齢者に適した新しい歯周治療法の確立 両角 俊哉
高齢者の口腔機能維持向上を目指した口腔機能低下症の予防的アプローチ法の確立 東 雅啓
有病者に対する感染歯髄へのMTA直接覆髄後のデンティンブリッジ形成機構の解明 武藤 徳子
歯科臨床の応用を目指した高い骨伝導能および骨結合能を有した新規生体材料の開発 猿田 樹理
神奈川歯科発デジタル変革を見据えたスマートデンティストリーの創生 小泉 創
抗菌性高分子材料の開発 大橋 桂
非アルコール性脂肪性肝疾患と歯周病の関連および同疾患への歯周治療効果に関する検討 鎌田 要平

▼

目指す社会貢献

歯科医療への貢献 高度な歯科医師の養成アカデミック・リサーチ・スペシャリスト
横須賀三浦半島への地域貢献 地域振興・災害歯科医療対策の充実
世界と競合できる臨床に還元できる研究による貢献 臨床研究の発信
ステークホルダーに対する貢献 健康寿命の延伸

▼

建学の精神の実現

プロジェクトリーダー

神奈川歯科大学は、認知症の方の「ず~っと食べる」と「健康」を応援します!

PHOTO

プロジェクトリーダー・森本佳成は、歯科麻酔学および口腔外科学を専門とし、これらを融合・昇華させて高齢者歯科学を専攻しています。従来、進行した重度の認知症高齢者では協力が得られないため、歯科診療はあきらめざるをえませんでした。本研究プロジェクトを通して、軽症から重症の認知症の方まで、安全な歯科医療環境を提供するシステムを確立することをめざします。これにより、認知症の方の「ず~っと食べる」と「健康」を応援してゆきます。

認知症患者の各ステージにおける
口腔機能管理の包括的戦略
森本 佳成

皆で健康長寿を目指す神奈川歯科大学発ヘルスプロモーションプロジェクト!

PHOTO

特に歯周病と糖尿病に関する地域連携事業、臨床研究を行ってきました。
新病院で新しく開設された医科歯科連携センターを中核に、生活習慣病や老年症候群の未病検査、診断を実施し医科歯科連携してヘルシイエイジングに貢献できるためのエビデンスを構築していきたいと思います。

日本歯周病学会指導医・専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本口腔検査学会認定医
日本糖尿病学会会員

歯科大学による健康長寿に向けた
口腔管理アプローチシステムの樹立
三辺 正人

神奈川歯科大学からPET検査で口腔癌治療を向上させる!

PHOTO

顎顔面病態診断治療学講座顎顔面外科学分野准教授、日本口腔外科学会認定口腔外科専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医で、口腔がん治療に一貫して取り組んでおり、高齢者のがん治療、がん化学療法、がん化学療法時の消化器症状への対応方法などが主な研究分野。また、核医学を用いた唾液腺機能の研究などを行っている。

口腔癌におけるPET検査を用いた腫瘍悪性度評価の試みと
頸部リンパ節転移に対する正診率向上に関する研究
岩渕 博史

神奈川歯科大学発、口腔科学で健康づくり!

PHOTO

出身は鎌倉、大学・大学院と神奈川歯科大学に育ててもらった地域に根ざした歯科医師・研究者です。学生には歯や口、顔の『かたち』を学ぶいわゆる解剖学・組織学と呼ばれる科目を担当しています。研究はインプラントや歯周病に関する再生歯科医療が専門で、より美しい笑顔を取り戻すことを目指しています。このプロジェクトでは海外でも講演や論文発表をする本学が誇る研究者が集結して歯科に存在する多様な問題を解決し地域社会に還元していきます。ご期待下さい。

神奈川歯科大学・歯学部卒 (歯科医師)
神奈川歯科大学大学院・歯学研究科卒 (歯学博士)
Karolinska institute (Stockholm, Sweden)留学
神奈川歯科大学大学院 口腔科学講座 教授

口腔機能を指標とした生活習慣病の
リスクスクリーニングとリスクマネジメント
松尾 雅斗

歯周病からはじめる、生活習慣病予防モデル地区の構築!
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

プロジェクトリーダー・青山典生は、歯周病学を専門として、これまで歯周病と循環器病のかかわりについて研究を進めてきました。歯周病は、全身の多くの病気とかかわっています。しかし、歯周病の予防がどれくらい全身の健康につながるかについては、まだよく知られていません。歯周病ケアから生活習慣の改善を進めることで、世界に先駆け、神奈川発の健康モデル地区の構築を目指します。

日本歯周病学会 歯周病専門医

口腔の健康をはじめとした生活スタイルの改善によって
循環器疾患を予防できるか
青山 典生

横須賀メソッドを世界に広げ、超高齢社会のニーズに応える!
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

プロジェクトリーダーである両角俊哉は、歯周病学を専門として、これまで菌血症にともなう生体応答の研究を継続的に進めてきました。一方、免疫力が低下している高齢者では、菌血症の影響が全身性の高リスクになる可能性があります。本プロジェクトでは、光治療(Er: YAGレーザー)による、高齢者に適した安全かつ効果的な歯周治療法の確立を目的としています。最終的には新しいゴールドスタンダード(横須賀メソッド)を国内外に広く普及させ、超高齢社会のニーズに応えていきます。

口腔統合医療学講座 准教授
日本歯周病学会認定 歯周病専門医

光治療による高齢者に適した新しい歯周治療法の確立
両角 俊哉

皆さんがいつまでも美味しく楽しく食事ができるように、神奈川歯科大学がバックアップします!
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

神奈川県出身で、歯科医師に必要な知識の根源となる解剖学を専門として学生に教育を行っています。研究では認知症やフレイルの予防・改善に向けた取り組みを行っています。これまでの研究を踏まえ、本プロジェクトでは「オーラルフレイル」よりもさらに口の機能が低下した「口腔機能低下症」に着目し、その予防法の確立を目的とします。本学から発信する口腔機能低下症の予防法により、高齢者の方々の生活機能の維持向上を目指し、皆さんの健康長寿の延伸に繋げる取り組みを行います。

高齢者の口腔機能維持向上を目指した
口腔機能低下症の予防的アプローチ法の確立
東 雅啓

一生、自分自身の歯で食べることを最大限にサポートします。
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

現代は、超高齢化の進行により全身疾患を伴う患者が多くなっている。有病者に対する歯科治療について、疼痛に起因する発作的全身的偶発事例を防ぐため、歯髄保存治療を推奨しており、現在歯髄覆髄剤として保険算定可能な Mineral Trioxide Aggregate (MTA)を用いた治療の感染歯髄に対する根拠を示すことで、治療可能な範囲を広げ、結果的に超高齢化社会における多様化した歯科疾患に対する貢献が可能であると考えられる。

有病者に対する感染歯髄へのMTA直接覆髄後の
デンティンブリッジ形成機構の解明
武藤 徳子

患者さまに安全で安心な歯科材料を提供できるように、神奈川歯科大学から発信していきます。
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

医療で使用される生体材料は、機械的強度が備わっていることは勿論、生体組織や器官と親和性があり、異物反応や拒絶反応などが生じない性質であることが望ましいです。しかしながら、臨床現場で使用する生体材料には、素材自体の毒性や生体適合性など、まだ解決しなければならない複数の課題が存在することが現状です。そこで本プロジェクトを通じて、「安全性および生体適合性を重視した質の高い生体材料の開発」をすることで、患者さまに安心して使用して頂ける歯科材料を提供できるように神奈川歯科大学から発信していきます。

歯科臨床の応用を目指した高い骨伝導能および
骨結合能を有した新規生体材料の開発
猿田 樹理

3Dデジタル技術を駆使した最先端の近未来的歯科治療を提供します!
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

プロジェクトリーダーである小泉創は矯正歯科学を専門として、これまで研究、臨床に従事して参りました。
歯列不正は、審美障害にとどまらず、齲蝕や歯周病などと関連し得ます。一方で、良好な歯列「良い歯並び」による咀嚼刺激は高次脳機能障害やストレス疾患を予防・抑制するなど、口腔内にとどまらず全身における健康、ひいては健康寿命の延伸に深く影響を及ぼします。
本プロジェクトを通じて矯正歯科治療にありがちな治療の長期化、あるいは複雑で痛みや違和感を伴う矯正装置に対してデジタル変革(Orthodontics Digital Transformation: ODX ©2020.)をもたらし、ライフステージを俯瞰した健康的な口腔内環境を整えるための、快適で効果的な矯正歯科治療システムの構築を目指します。

神奈川歯科発デジタル変革を見据えた
スマートデンティストリーの創生
小泉 創

全身の健康は口の健康から!抗菌材料を使って応えます!
(大講座基幹研究若手プロジェクト)

PHOTO

全身の免疫力を上げるためには、口腔ケアが大切と言われています。肺炎は我が国における死因の第3位であり、年間の全死亡者に占める割合は約10%前後です。一般的な肺炎は、口腔ケアにより抑制できるとのデータも多く示され、特に誤嚥性肺炎の予防に繋がることが実証されてきています。本プロジェクトでは、新規抗菌材料を開発し、口腔内の抗菌化、う蝕や歯周病の予防のみならず、全身の健康を維持させるべくプロジェクトに取り組みます。

日本歯科保存学会 認定医
日本歯科理工学会 Dental Material Senior Adviser

抗菌性高分子材料の開発
大橋 桂

歯周病治療して肝臓をケア!
(大講座基幹若手プロジェクト)

PHOTO

神奈川歯科大学附属横浜クリニックに所属し、ヒト歯肉における歯周病原菌に対する反応性についての個体差解析、歯周再生療法ついて研究を進めてきました。現在まで多くの研究によって、糖尿病、高血圧、喫煙と歯周病の関係が示されています。今回は歯周病と肝臓疾患に注目し、まず歯周病と脂肪肝がどの程度関連しているか調査いたします。その後、歯周病治療を行うことで肝機能、歯周病細菌、肝硬度(線維化)などのマーカーがどのように変化するのか解析いたします。歯周病治療にて口腔内にとどまらず、肝臓をサポートするという新たな歯科と医科の連携を目指します。

日本歯周病学会 歯周病専門医

非アルコール性脂肪性肝疾患と歯周病の関連
および同疾患への歯周治療効果に関する検討
鎌田 要平

外部評価者・ステークホルダー

基幹研究 外部評価者 ステークホルダー
基幹研究1 湘南医療大学
リハビリテーション・
看護学科
柴田昌和教授 歯科臨床医
介護福祉関係者
生活習慣病患者
基幹研究3 東京医科歯科大学
大学院医歯学総合研究科
高齢者歯科学分野
戸原玄准教授 認知症患者とその家族
介護者
基幹研究4 神奈川県立保健福祉大学 中村丁次学長 フレイルや認知症など健康寿命延伸を阻害する老年症候群患者および生活習慣病を保有する疾患リスクの高い患者とその予備群
基幹研究6 日本歯科大学
新潟生命歯学部
歯科放射線学講座
土持眞教授 附属病院通院中口腔がん患者
大講座基幹研究
若手プロジェクト1
東京医科歯科大学
大学院医歯学総合研究科
生涯口腔保健衛生学分野
荒川真一教授 歯周病患者
循環器疾患の高リスク者